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HA LING PEAK


駐車場から見た、「Ha Ling peak」
実際に登るラインはもう少し裏側。
去年のリバウンドだろうか。今年はカナダの観光業はとても忙しい。お金には困らないがなかなか思うようには登れてない。今年の目標は当面お預けかな...
7月も終わりにやっと連休が取れた。何をしようか考えてもみんな忙しく登りに行きたくても面子がいない。そんななか電話がかかってきた。「Sisyphus Summitへ行こう。」そのとき酔っ払っていた私は快く了解。当日朝になってことの重大さに気付いた。
キャンモアの裏手に見える「ハーリンピーク」はメキシコ以北の石灰岩のスポーツルートのなかでは一番長いルートになる。グレード的には5.10dで問題はないのだが、22ピッチ約500mのルートとなると話は違ってくる。そのため毎年登ろうとは言っていたのになかなか行けずにいた。
その日の朝ダミアンが迎えに来た。ギアの確認をしてからキャンモアに向かう。バンフから登り口の駐車場までは長く見積もっても30分!近いものだ。途中キャンモアノ町の後ろに「ハーリンピーク」が大きく見える。何となく見ていてもこれから登ると言う実感がわかない。やはり昨日飲み過ぎたのか...
コピーしたトポを片手に駐車場を出発。森林地帯を越え瓦礫だらけの岩場に入っていく。トポにはケルンを目印にと書いてあるがこのケルンがとても小さいので見つけるにはかなりの注意が必要。トレイル沿いに進んでいって大きなケルン?みたいのが見えたらそれはもう行きすぎです。(ガイドブックの案内はわからなすぎ)僕らが行った時にはたまたま前に違うチームがいてその二人がやめて降りて来るところだったので運良く見つけられた。
真下から見上げるこの岩山は空に真っ直ぐ伸びていて迫力があり我々を威圧する。さすがにこれから始まる長いクライミングがいやでも現実感を帯びてくる。
ダミアンのリードで、登り始めた。ルートは最初の2ピッチが右方向へのトラバース。ここは10aのグレードだが少し難しく感じられ、なんとなくふるいにかけられてる気分になる。(ちなみにここからラッペル一回で降りれる)
夏のこの日でも北斜面になるこのルートは日もあたらず快適。ただこの辺は風が強く寒くなりがちなので長袖は必需品。そして蚊が多いので登る前には虫除けを塗ることをお勧め。
3ピッチ目からはほぼ直登でいよいよ本番って感じ。グレードも10代後半がコンスタントに続く。、基本的にスラブのこのルートはバランスムーブが多く登っていてとても怖い。ホールドもカチが多くなかには2フィンガーなんてものも何ヶ所かあった。フットホールドもほとんど無い中、高所になれていない私には5.10d以上の難しさに感じられた。核心はD,Gピッチ目。60mのロープなら2ピッチ一気に行けるのだが、この辺りは一本ずつ行くのが無難でしょう。
11ピッチ目を越えるとグレード的にも落ち着いてくる。パワーバーを食べ、写真なんかを撮りはじめたのもこの辺りからだ。13ピッチ目で僕のリードが終わり、ダミアンのビレーをしながら足元を見ていたら白頭鷲が飛んでいた。普段見上げているものを見下すのはなんとも言えない気分になるし、いま自分がどれだけ高い所にいるかを実感できる。
この辺りからはアルパインルートみたいなものもあったりしてペースは早くなるはずなのに前半の疲れだろうかなかなかペースがあがらない。それでも少しずつだが確実に頂は近づいて来るのが分かる。 

↑.13ピッチ目.白頭鷲が現れ慌てて構えたが間に合わず。


↑.後ろに見えるのはMt' Rundle(EEOR)
山頂で。
ダミアンは途中で目が乾いたと言ってコンタクトをはずして眼鏡に変えていた...
そしてとうとう22ピッチ目(と言ってもほんの5mぐらい)が終了した。先に登った僕が山頂にあるステーションを使い慎重にビレイをする。二人が山頂に着いたときにはもう回りの山も西日を浴び夕暮れの気配が漂っていた。感動と、達成感に浸りながらもここから瓦礫とトレイル使いふもとまで約一時間の下り。出だしの瓦礫はかなり悪く、なめなめでサンダルで来た僕にはかなり堪えた。何とか駐車場に着き、時計を見るとなんと12時間も経っているではないか。トポには7時間と書いてあったはずだがと思いながらも無事に降りてこれたことと、目の前にあるたった今登ってきた岩山を見て満足感に浸りながら車は今夜の必要品を求めて酒屋に向かって走り出していった。
データ−...(持っていった物)9.8mmの60mシングルロープ×1。クイックドロー×18(長めの物が何個かあると重宝します)。後はロッククライミング用具一式。水は各自1リッターとスナック。下山用の靴。薄手のナイロンジャケット。意外と蚊がいるので虫除けスプレーを用意しておこう。※7月中旬天気(晴れ)。car to carで12時間かかりました。同時登摩で5時間と言うのが私の知っているなかでは一番早い記録かな。